◆きんいろのあなた◆《ONE PIECE/ゾロサン》

 

 ぼやけた視界を金の色をした影が過ぎった。

 

 空は快晴、風は程よく、腹はほどほどに満ちていて、身体はほどほどにくたびれている。

 鍛錬のあとの、さあ眠れといわんばかりの穏やかな午後。

 あぐらをかいたまま、ゾロは眠気を覚え始めていた。

 甲板の反対側では仲間達の笑い声とおしゃべりが聞こえて、波音に混ざるそれが丁度いいBGMだ。ゆっくりと落ちてきた瞼に逆らわずそのまま眠ろうとしたときに、眠気でぼやけた視界に金色が過ぎっていった。

 メリー号に金色は一つしかない。

「レディ達、ついでに野郎ども!おやつの時間だぜ!」

「やった!おやつ、おやつ!!」

「今日は何だ?」

 甘いものに目のない面々が騒ぎ出す。

 金色が揺れて、すいと消える。コックが屈んだらしい。

「うわー!すげーなおい!」

「すっごい、おやつじゃないみてぇにきれいだな!」

「素敵じゃない、サンジ君」

「ふっふっふ、ちょっと本気を出したらこのとおりですよナミすわぁ〜ん!どう、惚れ直した?」

「うーん、直すとこまではいかないかなっ」

 あっさりとナミにかわされたサンジが肩を落としている。

 めいめい、コックの作った見事なお菓子を手にしたようだった。

 オレの分は、とつい思う。

 甘いものはそう好きなほうではないが、あのコックの作ったものならば話は別だ。

 皆に歓声を上げさせた形にもちょっと興味がある。

 とはいえ、起き上がって興味しんしんにのこのこ寄って行くのも沽券に関わるのでついついゾロは寝た振りを続けてしまう。

 どかどかと近寄ってくるサンジの足音が聞こえた。

 次に来るのは蹴りだなと構えていると、予想に反して足は降って来なかった。

 近寄ったサンジは、しばしゾロを覗き込んでいたかと思うとふとかがみこみ、すぐにまた踵を返していってしまう。

 おい、と思ったけれど今更起きることも出来ない。

 金色の影が遠ざかるのを思わず薄目を開けて見てしまう。

 引き返していったコックが何を言ったのか、仲間たちがどっと笑った。

「おお、いいじゃねーかサンジ!芸術作品だぜ!」

「だろー?」

「すげーな、サンジ!かっこいいぞ!」

「あっはっは!」

 げらげらと仲間たちは笑い転げている。

 一体何がそんなにおかしいのかとゾロは寝た振りをしながら顔をしかめた。

 

 その緑色の髪には、サンジの作った芸術的な飴細工が乗っている。

 金色の飴の花びらを持つひまわりが、ゾロの頭の上の草原で午後の太陽を照り返して、つやつやと美味しそうに光っていた。

 

 

2007/03/20


 サイトでは初ゾロサン。…ゾロサン???
 昨日はジャンプにワンピが載ってなくて残念でした。明日はいよいよ映画アラバスタを観にいこうと思っております。先日はカラオケで歌えもしないのに映画の歌を入れて映像にときめいておりました。ビビ素敵。
 友人と三人でもう泣く気満々。
 見る前からなんだそれ。